CADオペレーターの仕事はもうない?
今からCADオペレーターになるのはもう遅い?
こんな悩みにお答えしていきます。
本記事の内容
- 「CADオペレーターの仕事はない」と言われる要因
- 求人情報の一例
- 求人を探す方法
- 求人を探す際のポイント
- 「仕事がない」と困らないためのスキルアップ案
今どきCADオペレーターは仕事ない、必要ない、なんて言われたことはないでしょうか?
実際には、CADオペレーターの仕事は「昔より減ったが、なくなってはない」がわたしの結論です。
本記事の筆者は機械設計士として10年以上勤務したなかで、複数のCADオペレーターさんに仕事と業務を行いました。
筆者が設計士をしていた10数年間を振り返り、「CADオペレーターの仕事はない」と言われる要因と、求人の見つけ方を解説していきます。
これからCADオペレーターを目指す方も、現役の方も、ぜひ最後まで読んでいただき今後の進路を考える一助にしていただければ幸いです。
「CADオペレーターの仕事はない」と言われる要因3つ
CADの仕事はなくなっていないし、今後なくなる見込みもありません。
ではなぜ「CADオペレーターの仕事はない」と言われるかというと、業務環境の変化により、CADを専属で行うオペレーターの必要性が昔より少なくなったからです。
専属オペレーターの必要性が少なくなった背景には、次の3つの要因があると考えられます。
「仕事がない」と言われる要因
- CAD操作の負担が減った
- 単純な入力業務が減った
- ものづくり手法の進化
昔と比べてCADオペレーターの業務環境がどう変化したのかチェックしてください。
要因①CAD操作の負担が減った
1つ目の要因は、昔よりもCAD動作が快適になり、CAD操作に伴う負担が減ったことです。
ちょっとした図面の修正程度なら腰を据えてCADデスクに張りつかなくても実施できるようになったので、CAD業務のみを行うオペレーターさんの需要は減ってきたのですね。
パソコン性能や通信環境の発展により、昔よりもCADが快適に動作するようになったのです。わたしが仕事でCADを扱うようになった十数年前、CADの動作は今より不安定でした。
例えば、パソコンにCADデータが表示されるまで30分くらい待ったり、画面上で3D(3次元)モデルを動かしている最中にパソコンが固まり、同じ作業を1からやり直ししたり、なんてことも。単純な作業を行うだけでもCADの処理待ち時間が長かったので、CADオペレーターさんに指示を出して進めてもらうことも多かったです。
わたしが機械設計士になった十数年前と比べると、昨今はパソコンや通信環境の進化に伴い、「動きが遅すぎてCADが使い物にならない」なんてことはほとんどなくなりました。
CADソフトを立ち上げるだけで30分待ちはつらい……
要因②単純な入力業務が減った
2つ目の要因は、単純な入力業務が減少したことです。
CADオペレーターの代表的な業務といえば、設計士が設計したものを3Dモデルにしたり、2D(2次元)図面を作成・修正したりといった内容をイメージされると思います。そのようなCADへの書き起こし作業が、年々減ってきたのは事実。
3Dモデルや図面を作成する目的は、試作品を製作するために行う場合が多いです。近年、設計ノウハウの蓄積やシミュレーション技術の進化によって、試作品を製作する回数が一昔前より減っています。
ことわざの「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で例えると、昔は鉄砲の打ち方・狙い方をよくわかってなかったので、「数撃つ」戦法を取らざるを得ませんでした。
昔はとにかく数を打つことも多かったので、それに伴い、CAD作業の量も多かったのです。
わたし自身、下手な鉄砲を撃ちまくってましたね……
要因③ものづくり手法が進化した
ものづくりの進化も、CADオペレーターの業務量に影響を与えています。昔は、ものづくりをするためには図面が必須でした。
3Dモデルで部品の形や大きさなどを設計して、形状が完成したら2D図面に落とし込んでいく(バラシとも言う)流れです。現在でも3D→2Dで作業する流れが主流ですが、図面がなくてもよい場合もあります。
わかりやすい例が3Dプリンターですね。3Dプリンターでものづくりをする際は、3Dモデルさえあれば2D図面は不要なので「バラシ」作業を省けます。
紹介した3Dプリンターの例以外でも、「図面なし」での、ものづくりは行われているのです。
2D図面必須から流れが変わってきたので、今までCADオペレーターさんにお願いしてきた製図の機会が減ったのですね。
実は最近、わたしも3Dプリンターを購入しました!
本当にCADオペレーターの仕事がないのか確認【求人例を2つ紹介】
前項で見た通り、昔と比較するとCADオペレーター需要は確かに減少傾向です。
しかし、今でもCADオペレーターを必要としてるところは存在します。実際の求人を例に、どのようなCADオペレーターが必要とされているかをみていきましょう。
求人例①3DCADを使った設計業務
担当業務はいわゆるCADオペレーターの仕事って感じですね。実務経験が浅い方には2週間の研修が用意されているのも嬉しいポイント。
求人例②CAD未経験でもOKな募集
仕事内容はCADのほかに、帳票の作成や部材の手配、見積作成があるようです。事務経験があればCAD未経験でもOKで、事務未経験でもスクールや学校でCADに触れたことがある方ならOKですね。
上記はあくまでも一例です。
ご自身の条件に合う求人をぜひ探してみて下さい。
仕事がないCADオペレーターが求人を探す方法3つ
よい条件の求人が見つからない方は、これから紹介する方法を参考にして調べてみて下さい。今でもCADオペレーターに需要があることを実感できるはずです。
求人を探す方法
- 求人サイト
- 派遣会社
- 職業訓練やCADスクール
それでは、実際の探し方をみていきます。
方法①求人サイトで検索
1番手っ取り早く探す方法は、求人サイトで検索する方法です。
CAD実務未経験から求人を探す場合は、求人サイトで「ポリテク卒歓迎」や「スクール卒歓迎」、「スクール卒OK」などと検索するとよいです。
補足すると「ポリテク」とは「ポリテクセンター」の略称で、職業訓練を行う公共職業能力開発施設「職業能力開発促進センター」の愛称ですね。
過去にCADオペレーター経験があるけど期間が空いた方は、「ブランクOK」も合わせて検索してみてください。「スクール卒OK」な求人は意外とたくさんあるので、ぜひ探してみて下さいね。
応募するときに志望動機の書き方に悩んだら、CADオペレーターの志望動機の書き方をチェックしてください。
CADの勉強を始める前の下見にも、手軽に調べられる求人サイトはおすすめ。
方法②派遣会社へ登録
求人サイトから直接応募するのに抵抗があるようでしたら、いったん派遣会社に登録するのもありです。なお、派遣会社への登録はすぐに働けない方でもOK。登録だけでもしておくメリットありです。
派遣会社に登録しておけば非公開の求人情報も見れるので、よい条件の求人が見つかる可能性が広がります。
プロが仕事を紹介してくれるので、自分で求人を見つけられない方におすすめ。
方法③職業訓練校やCADスクールからの紹介
職業訓練校や一部のCADスクールでは、スキルアップを狙いつつ、求人情報の案内や就職サポートを実施してもらえます。
スキルに不安があり就業できる自信がない方は、職業訓練やスクールでCADの勉強後に就職活動するのもありですね。
職業訓練は、求職者なら受講料は基本無料です。(教科書代等の実費負担はある)
CADの職業訓練の内容は、CADの職業訓練は受ける意味ない?【機械系・就職率は〇〇%】で解説しています。
また、就職サポートが充実しているCADスクールは、ヒューマンアカデミーです。
ヒューマンアカデミーCAD講座の口コミなどは、ヒューマンアカデミーCAD講座って実際どう?【口コミ紹介もあり】で確認してみてください。
まずはスキルアップを図りたい方におすすめ。
CADオペレーターが求人を探す際のポイント2つ
次は求人を選ぶ際に、気を付けておくべきポイントを解説していきます。
就業後に「想像と違った」とならないよう、注意点を確認してください。
求人を探すポイント
- 分野を間違えない
- 研修の充実度を確認する
ポイント①分野を間違えない
CADオペレーターの求人を探す際に1番重要なポイントは、扱うCADの分野を間違えないことです。
CADの分野には代表的なところで建築・機械・電気があり、それぞれ使用目的が異なります。
ネジや歯車といった機械部品を設計するための機械系CADの勉強をしたなら、機械系CADオペレーターを募集してる会社、業界を探しましょう。
家の間取りを書く練習をしていたなら使用していたCADソフトは建築系なので、機械系CADとは扱いが異なります。
分野の見分け方は、求人元で使用するCADソフト名称の確認がわかりやすい方法です。
代表的な機械系CADの名称を挙げておきます。
機械系CADソフトの例
- CATIA
- Creo
- I-CAD
- Inventor
- NX
- SolidWorks
以上のような名称があれば、機械系CADオペレーターの募集と思って間違いないです。注意点としては、AutoCADは機械系・建築系どちらの用途でも使用されているので、求人情報をよく確認されることをお勧めします。
実際の求人情報には、「特定のCADソフトの使用経験がなくてもOK」としている求人が多いです。
同じ分野のCADどうしなら、使うソフトが変わっても応用が利きますが、分野ごと変わってしまうと最初から覚えなおしになります。
求人情報には、CADの分野違いについては言及されていないので、注意してください。
わたしは機械系のCADしか扱えません……
ポイント②研修の充実度を確認する
いきなり現場に投入されるのが不安であれば、研修が充実しているところを選ぶとよいです。
派遣会社の中には、独自のCAD講習を用意しているところもあります。
以下に一例を挙げておきます。
独自のCAD講習がある派遣会社
派遣会社選びの参考にしてくださいね。
「CADオペレーターの仕事がない」と困らないためのスキルアップ案2つ
まだまだ需要はありますが、CADオペレーターが担ってきた単純作業的な業務が減っているのは事実です。
せっかく就職できたとしても、仕事がないと継続していけませんよね。
幅広く仕事を獲得するには、スキルアップが必要です。
ここでは、CADオペレーターの仕事を長く継続していくためのスキルアップ戦略をみていきます。
スキルアップ案
- CADを極める
- CAD以外のツールも覚える
案①CADを極める
1つ目の提案はCADを極めることです。
「CADをオペレートする」のがCADオペレーターの仕事なので、とにかくCADを極めましょう。
設計士の中にもCADを完璧に使いこなせない人がいるので、CAD操作で困っているときに助けてくれるオペレーターさんがいると、とても心強いです。
またCADを極めた先には、CADサポート部門への配属やCADトレーニング講師へ進む道も。
「CADオペレーター」という職種ではなくなりますが、CADの実績を積むと違ったキャリアが見えてきます。
過去にお世話になったオペレーターさんは、自社(派遣会社)のCAD講師に任命され派遣元に戻られましたね。
案②CAD以外のツールも覚える
2つ目の提案は、CADの関連ツールの扱い方を習得することです。
ものづくりをする上で欠かせないCADですが、CADだけではものづくりは進みません。CADで作成した3Dモデルを元に、強度計算の実施や加工方法の検討、部品調達の管理が行われています。
周辺業務のツールも扱えるようになっておくと、業務の幅が広がります。CAD以外の業務にも手を広げていくことは、何歳までもCADオペレーターで長く活躍するポイントです。
CAD周辺業務ツールの例
- CAM…部品を加工するための機械を動かすプログラムを作る
- CAE…コンピュータ上で強度計算などを行う
- BOM(部品表)…製品の構成部品の一覧などを表す
お願いした通りにCAE設定をやっていただける方がいると、設計士は喜びます!
CADオペレーターの仕事は、なくなってない
CADオペレーターの仕事はなくなっていないことを確認していただきました。
世の中からCADがなくならない限りは、CADオペレーターの仕事が完全になくなることは今後も考えられません。
CADオペレーターは辛いこともありますが挑戦はこれからでも遅くないです。
ご自身の適性が気になる方は、CADオペレーターに向いてる人を解説も確認してみてください。